轟音と共に、目の前の壁が崩れた。狭い地下道を忙しなく行きかう人々がわっと声をあげて、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 当然、僕は逃げ遅れたのだった。つい昨日まで北海道の片田舎の住人だった人間が、ザ・大都会の人間たちのテンポの速さに合わせられるはずがない。僕は壁を突き破って出現した芋虫――いや、芋虫なのか?この世に軽自動車サイズの芋虫など存在するのだろうか――とにかく、その青緑色でたくさんの節がついた生き物が僕に向かってその巨体を持ち上げたのを、まるでテレビの画面にうつる映像であるかのように、呆然と口を開けて見ているしかなかったのだ。

そういえば出発前、首都圏ではテロ事件が流行っているそうだから気をつけなさいと母が言っていたっけ。はいはい気を付けるよとそのときは簡単に流していたが、まさか本当に遭遇するとは……。しかもよりによって、せっかく都内の大学に合格して、新生活への期待を胸に上京した初日にこれかよ――。僕が自分の運命を呪ったその瞬間だった。
  

 目の前が、真っ赤に染まった。

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